戸越銀座まで、歩いて7分 ── 品川区中延の新築戸建て6,480万円と、ある女性の決断

東京

田中沙織が「戸越銀座に住みたい」と思い始めたのは、友人の引越し祝いに訪れた3年前のことだった。

商店街のコロッケ屋の列に並びながら、沙織は思った。東京にまだこういう場所があるのか、と。

3路線使えるということ

沙織は38歳。五反田のIT企業でプロダクトマネージャーをしている。今は目黒区内の賃貸に住んでいて、職場まで電車で15分。悪くない暮らしだが、「いつまでも賃貸でいいのか」という感覚が、30代後半になってから少しずつ重くなっていた。

荏原中延駅から乗れば五反田まで3分。都営浅草線の戸越駅も徒歩7分で、そこから品川・泉岳寺方面へも直通で行ける。戸越銀座駅を使えば渋谷方面にもアクセスできる。3路線が徒歩圏にある、という事実は、「どこへでも行ける自由」を意味する。

沙織はフルリモートではないが、週2日はオフィスに出ればいい。残りの3日は家で仕事をする。だとすれば、通勤の利便性より「家で過ごす時間の質」の方が、ずっと大事だという結論に至った。

6,480万円の一人戸建て

「女性の一人暮らしに戸建てって珍しいですね」と担当者に言われた。沙織は少し考えてから、「そうですかね」と答えた。

マンションを検討していた時期もあった。でも管理費と修繕積立金を毎月払い続けることへの抵抗感があった。戸建てなら、その分を自分でコントロールできる。何かあれば自分で判断して直せばいい。そういう感覚が、性に合っていた。

頭金1,500万円を入れて35年ローンを組むと、月々の返済は約17万円。今の家賃とほぼ変わらない。

木造3階建ての1SLDK、48㎡。一人で暮らすには十分すぎる広さだ。サービスルームをウォークインクローゼット兼仕事部屋として使う計画を、すでに頭の中で描いている。1階に床暖房があるというのも、冬の朝が苦手な沙織には地味に嬉しいポイントだった。

戸越銀座という日常

週末の午前、沙織は商店街をゆっくり歩く。八百屋でその日の野菜を選んで、気が向いたら総菜屋でコロッケを買う。コーヒーを飲める店を1軒見つけておく。それだけで、その街に「自分の時間」が生まれる感覚がある。

「資産としての住宅」よりも、「暮らしの場としての住宅」を選んだ、という自覚がある。

6,480万円は、その暮らしへの投資だと思っている。

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