公園の隣に、帰る場所がある ── 横浜・伊勢佐木長者町5,580万円と、ある女性の選択

神奈川

公園の隣に、帰る場所がある ── 横浜・伊勢佐木長者町5,580万円と、ある女性の選択

中村亜希が横浜に戻ってきたのは、4年前のことだった。

大学進学で上京し、そのまま東京で働いて10年。渋谷のIT系企業でUXデザイナーとして働きながら、代官山の賃貸に住んでいた。悪くない生活だった。でも何かが、ずっと足りなかった。

横浜育ちの亜希には、東京の街が「自分の街」になった感覚がなかった。どこへ行っても「来た場所」であって、「戻る場所」ではなかった。

伊勢佐木長者町という場所

帰ってきた当初は、みなとみらいや横浜駅周辺のマンションを探していた。でも内見をするうちに、なんとなく違うと感じた。きれいすぎる。整いすぎている。自分が横浜に戻りたかった理由は、そういう場所ではなかった。

伊勢佐木長者町を初めて歩いたのは、担当の不動産営業に勧められた物件を見るためだった。駅を出ると大通り公園がある。木が並んでいて、ベンチがあって、平日の昼間に誰かが座っている。商店街には古い店と新しい店が混在している。横浜の、自分が知っていた雰囲気が、ここにはあった。

最上階の2DK、5,580万円

エクセレントシティ横濱大通り公園、11階。建物の最上階で、南西向き。2023年築の3年落ちで、室内はほぼ新築の状態だ。

広さは44㎡。2DKという間取りはコンパクトだが、亜希一人には十分だった。もう一部屋をデザインの仕事部屋にする。それだけで、賃貸ではできなかった「自分のための空間」が生まれる。

5,580万円という価格を見た時、亜希は少し考えた。頭金1,000万円を入れて35年ローンを組むと、月々約15万円。管理費と修繕積立金を合わせても月約17万円で、今の横浜の家賃より少し高い程度だ。「払い続けるものが資産になるかどうか」という違いに、亜希はずいぶん前から気づいていた。

公園まで20mの意味

この物件を決めた一番の理由は、大通り公園まで20mという立地だ。

締め切り前で行き詰まった時、スニーカーを履いてそのまま外に出られる。5分で公園のベンチに座れる。東京に住んでいた頃、「少し歩きたい」と思ってから実際に緑のそばに行けるまで、電車か自転車が必要だった。ここでは、ドアを開ければ公園がある。

横浜駅まで8分。みなとみらいも中華街も、気が向いた時に行けばいい。日常には、公園と商店街があれば十分だと、亜希は思っている。

戻ってきた理由

引越しの日、荷物を運び終えてバルコニーに出た。夕方の光の中に、大通り公園の木々が見えた。

東京で10年間、探し続けていたものが何だったのか、その瞬間にわかった気がした。自分が「戻る場所」として感じられる街で、自分のものになる部屋を持つことだった。

5,580万円は、その答えにたどり着くための値段だと思っている。

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※本記事はフィクションです。登場人物・エピソードはすべて架空のものです。本記事はアフィリエイト広告を含みます。掲載画像はイメージであり、実際の物件とは異なる場合があります。